Ryuji Koyama Architect
Ryuji Koyama Architect

press to zoom
Ryuji Koyama Architect
Ryuji Koyama Architect

press to zoom
Ryuji Koyama Architect
Ryuji Koyama Architect

press to zoom
Ryuji Koyama Architect
Ryuji Koyama Architect

press to zoom
1/10

新荘の家

基準 —常識— この曖昧なモノを打ち破るため、必要と必然に重点をおいて、施主の必要とする単位のみを再生、構築する。この場合これまでの一般的なヒエラルキーは意味を持たなくなり、必要にいたった必然のみが建築を形づくる。間取りの中心となるLDKにおいては、「心身の代謝」と「憩う」という行為が自然に出来るように、無駄な物を一切省いた。  

      この建物は2LDK+ホールの延べ面積230坪の住宅だ。ヴォリュ−ムでいえば300坪はあろうかというもので、通常の戸建て住宅のスケールから逸脱したものである。

     そして建主は「倉庫のような住宅」というテーマをもって現れた。私はそれを、自分のライフスタイルを貫く自己表現としてとらえ、そのテイストを住みながら自由に育てていくことのできる器として住宅を考えているのだなと受け取った。それは、倉庫空間のように内部にどのようなものを入れようとも許容できる強度を持った建築であるはずだ。ただし、この内部に入るものは人であり彼等のテイストであり、外部にはこの地の環境がある。

 そこで、この住宅が外部と内部の境界、環境と人の境界を示す建物であることを目標と考えて設計を進めた。また、一方で幼い頃からの生活の基準となっていた部屋の単位(形式と数)という要望があった。それは通常の3倍に近いものだった。個人の常識は育った家庭環境によることが多いので、これは大事なことと受け止めた。

 この計画は、敷地環境と各部屋のスケール、それに建主のライフスタイルからスタートしている。形状や素材は、その機能的要求と、つくられた形が及ぼす影響を考慮して決定した。でき上がった室内は外形を反映しているが、境界となる外壁は線でなく建物の外面である。そこで確実に内部を印象づけるめ、そのデザインは十分に慎重に行ったつもりだ。たとえば屋根形状は、内部空間があまりに大きくならないようにフラットに近い形にし、光が入るようにスリットを開け、落葉を雨水にのせて落とせるようにと考えた形である。また、この形は、内観の単調な空間にリズムを与えている。内部の間仕切りは、必要な部品ともいえる家具や耐力壁を各部屋の領域を示す布石のように配し、平面の中に生じる流れを切らないようにと努めた。

 この建物の内装(ライフスタイルやインテリア)は完成していない。今後、建主自身が住みながら生活を決めていくものを最小限の労力で着実に実現しようとしている。いわば建主自ら生活感を建築的に実現していく試みである。この篠山の地で、建主のオリジナルな生活感であふれた状態がなじんでいくよう、時を共にしながら力添えしていきたいと思っている。