敷地は、団地開発された山の突端にあり、ケンチブロックが積まれアプローチとなる上段部分と下段の2段に分かれていた。木造住宅を希望した施主に答えるべく木造として計画をはじめが、この敷地に足を運ぶにつれ、吹き上げる南風の強さに驚かされた。

 一時的な気持ちよさとは異なる「日常生活の中での快適性」には生活を委ねられる安心感、安堵感というものが必要である。 その点、吹き上げる南東からの風は不安の要因であると共に、この敷地の場所性やこの住宅の固有性を明らかにするものであると確信した。この建物の構造計画は、それらの考え方を空間として実体化することを主旨としたものである。

 この建物は、実際はRCの耐力壁によって支えられた木造大屋根を持つ混構造の住宅であるが、考え方として木造の形式で解くように造ったものである。

 この敷地から見えるロケーション、光、風を考えながら内部のためにどう開き塞ぐことが必要なのか考え、まずは囲われた箱から塞ぐために残す壁を考慮し建築化することを考えた。

 まず敷地の上段に乗せるようにRC造のスラブを設け、この基準スラブを支えるものとして下階へ必要最小限にRCの壁を造る。次に、基準階から上階へ向け壁を立ち上げるのだが、概念上は長辺が南東に向いた2層分の高さの箱から風を受けるのに十分で不可欠な壁を残し、南、東の角を切断する形で開口部をとった。よって、パブリックゾーンは南に、プライベートゾーンは東に開口し、それぞれの空間的質に合せた開口とした。そこに建ち残った2層分の高さのRC壁の間には、木造の架構を入れ込んだ構造とし、その木造の架構と組合ったRCの壁は、木造の大壁と捕らえて処理している。

 またそのRCの壁は、量感がみえることで安堵感につながり、結果としてかけられた大屋根は、柱のみで支えられているため、その存在は、包容感あるものとなり、「つつまれる感覚」を創り出すことができた。