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この住宅は、書家を主人とする家族の住宅である。

敷地は、兵庫県の裏日本、但馬の豊岡にあり、周囲は元の田畑を埋め立てして出来た住宅地であり、プレファブメーカーの住宅が立ち並ぶ角地である。

 

プログラムの構成には、ご主人の職業が書家ということもあり、住宅内には静寂さが欲しいと言われたことに併せて、周辺の雑然と建ち並ぶ住宅群から離脱する生活を求ることになった。

生活の主となるリビングダイニングは、2階に配置し、遠くに見える山々を眺めて生活出来るようにし、そこに併設して書斎を創ることにした。

 

1階にはガレージを併用する玄関アプローチがあり、寝室、子供部屋、更に茶室を配置した。

敷地の2面は道路に面するため為、視覚的にプライバシーを確保する考えで、斜めの木製ルーバーを考案した。

建築の構造的構成は、外観を、RCの打ち放し仕上の壁と木製ルーバーの部分とで市松に配置し、RCの壁の上下に重なる部分に柱を備えるラーメン構造とした。

この守りの外装に囲われた内部では、木造の屋根を伏せ、その天井に見える連続する垂木のテクスチャーが、家族を包むように覆われている。外部と繋がる開口は、壁と開口とが市松の模様のように順番に展開し、閉められた囲いの中に、すっきりと景色を抜き取る。

外に配置された。木造のルーバーからは、周辺の音は入り込むので、その音から周辺の生活感も読み取れる。

書家の主人が墨で書く文字に託す思いを、この地の風景と共に家族に染み渡る方法とは何か。

静寂した生活の中に、書と暮らす幸せを家族が一つになって感じる住宅空間とは何か、問いながら創った住宅である。

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